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読書と映画と小説と、平熱的な日々のこと

夏川椎菜3rd Live Tour「ケーブルモンスター」の感想

ケーブルモンスターの立川day1と神戸day1にそれぞれ参加してきました。自分の中でのツアーはこれにて終了。感想をまとめておこうと思います。 ※ネタバレありなのでご注意ください。 ※自分はデータ収集型の人ではないので記憶違いたくさんあると思うけどそこ…

2023年触れてよかったものまとめ

ブログ更新:2023年のいろいろ

上を向いて歩こう。:夏川椎菜「ケーブルサラダ」と小説「ラフセカンド」

夏川椎菜の3rdアルバム「ケーブルサラダ」を聴いた時に、こういう景色を思い出した。 深夜の学生街のカラオケで、二次会だか三次会だかの延長戦で人の気配をそれぞれの個室の奥に感じるのに、通路の方は人気がない。ドア越しに音も声も削られて余韻や残響の…

オレオレ、オレだよ、絶望だよ:ゴジラ−1.0

ゴジラさんも数えれば70歳である。それはそれは色々な役回りを演じてこられた。 戦争や震災の象徴、悪を打ち倒すヒーロー、かと思えば悪辣なヒール役、エトセトラ。子供向けから大人向けまで縦横無尽に立ち回り、「原爆実験の影響で生まれました」の前口上さ…

(ほぼ)何も知らずにTrySailのライブに行ったこと

ほとんど何も知らずにTrySailのライブに行く。 とか言いながら実際はツアー中に2回も行っている。1回目ほぼ何も知らなかったのは事実だが、ライブ始まって最初の3曲ぐらいで「これはもう一周したい」と感動し、終わってすぐ追加公演を予約。1ヶ月後、幕張は…

優しくてか弱くて可愛くてうざい:「おいしいごはんが食べられますように」

高瀬隼子「おいしいごはんが食べられますように」を読む。 職場ものである。そういうジャンルがあるのかどうかはわからないが、便宜的にそう呼ぶ。仕事ものとは少し違う。仕事の興奮やドラマを描くのではなく職場という小さい、限定的な世界のささやかな感情…

おとん、わからんて:aftersun/アフターサン

「aftersun/アフターサン」を観る。 父と娘がつかの間の休暇を楽しむために旅に出る。どうもこの親子は一緒に住んでいるわけではないらしい。だからこの旅行は久々に父が娘に会えるまたとない機会でもある。娘は無邪気である、ビデオカメラでお互いを撮った…

グッバイ呪いたち:「海辺のカフカ」

どうでもいい話だが、ブログの本拠地をFC2からはてなに移行していこうと思う。FC2さん、何年も使い勝手が全く変わらないのは素晴らしいことなのだが、余りに変わらなさすぎて色々と不都合も出てきたので。 村上春樹の「海辺のカフカ」を十何年ぶりに再読した…

夏川椎菜の「コンポジット」:2022年触れてよかったもの

AppleMusicに今年多く聞いた音楽をいろんな観点からピックアップしてくれる機能があり、試しにやってみたら夏川椎菜まみれだったので笑う。一番聞いたアーティスト、一番聞いた曲、一番聞いたアルバム、どれをとっても夏川椎菜だった。今年を思い返してみれ…

シン・学校の怪談か?:GHOSTBOOK おばけずかん

山崎貴監督といえば、ALWAYSや永遠の0の大ヒットメーカー、あるいはドラ泣きだとかドラクエだとかお涙頂戴だとかの言葉で色々な毀誉褒貶の評で語られがちな監督ではあるものの、個人的にはずっと足を向けて寝られない人であり続けており、それはひとえに「…

2021年、読んで・見て良かった本、映画まとめ

2021年終了まで後数時間というところでこれを書き出しているが、はっきり言って全然時間がない。果たして年明けまでに間に合うのか。毎年記録しておくことが大事という意識で書いているので、今年はいつもよりも気持ち短めでいこうとおもう。 映画も本もまと…

自分、不器用ですから:竜とそばかすの姫

広大なインターネット空間を舞台にした細田守監督作品といえば、古くは「ぼくらのウォーゲーム」があり、もうちょっと手前では「サマーウォーズ」がある。この10年来でインターネット空間の描かれ方はかなり様変わりした感があるが、改めて仮想現実をえがく…

ラブ&ポップ:シン・エヴァンゲリオン劇場版:||

シンエヴァを観てきた。一週間ぐらい前に。 記念碑的な作品だし、何かしら感想を起こしておきたいと思ったのだが観終わってなかなか言葉が出てこない。それでいろんな人の感想を巡ったり、考えたりしているうちに、時間が経ってしまった。これ以上熟しても何…

二十数年後の旧劇

旧劇場版エヴァを映画館で観るという体験ができたのはシンエヴァ公開の恩恵だったのだが、肝心の新作の方が延期になってしまったので、映画館に向かう足取りがなんとなくふわふわしてしまった。本当ならば旧劇鑑賞後の数日後にはシンエヴァを観れていたのか…

ノルウェイ製の家具

ビートルズの「Norwegian wood」をノルウェイの森と訳すかどうかについては色んな意見があるそうだが、先日映画「ノルウェイの森」を見直して、エンドロールで流れる原曲が思った以上に全然「森」っぽいことを歌っていないと気づいた。やっぱりどちらかとい…

2020年、読んでよかった本まとめ

例年同様わーっと羅列して、最後に5選。今年は色々読み散らかすというより、同じ作者の本を続けていくつも読む、ということが多かった年だった。あと、いいなと思った本が大体日常を描いている本だったのは、もしかしたら今年特有なんだろうか。もともと好…

2020年、観てよかった映画まとめ

誰しもが同じだと思うのだけれども、2020年は全然映画館に足を運ばなくなってしまった。代わりに配信サービスで映画を見ることが増えて、そうなると必然、新作ではない昔の映画を見る機会の方が増えた。観よう観ようと思って見れてなかった作品とか、全く観…

PS4で遊んで良かったゲームまとめ(24作品)

PS4で兼ねてからやりたいと思っていたゲームを一通り全てプレイし終えた。 元々ガッツリ系ゲーマーかというとあんまりそういうわけではなかったのに、PS4を買ってからコンスタントに楽しくゲームを遊びだしたのには理由があって、つまりは映画的な、演出偏重…

早く人間になりたい:Detroit: Become Human

「Detroit: Become Human」は、アンドロイドが生活に不可欠になった近未来を舞台に、人間性とは何かを問いかけるアドベンチャーゲーム。高精細なグラフィックと、俳優のモーションキャプチャーによるリアルな演技、選択肢によって大量に分岐するシナリオ、そ…

歯を食いしばって犬を打つ:The Last of Us Part II

(ネタバレなし) 幸いにして人を殺すことなくここまで生きてきたがそれは現実世界の話であって、ゲームの世界では随分と沢山の殺しをやってきたことに気が付いた。世界で最も評価されたゲームの一つと言っても過言ではない「The Last of Us」の続編をプレイ…

部屋と魔晄炉と私:FF7リメイク

説明不要の不朽の名作、ファイナルファンタジー7をプレイしたのは高校生の頃で、それはこの作品が発売されてからもう何年も後のことだった。なんなら、当時の最新タイトルだったファイナルファンタジー10をやった「後」のことである。最新ハードのPS2に、初…

ゲームを捨てよ、森へ出よう:ライフイズストレンジ2

続編とは因果なものだと思う。続編とは悲しいものだと思う。続編とは難しいものだと思う。作る側も、受け取る側も、いつだって前作が念頭に置かれてしまうのが続編の宿命だが、同じことをやれば二番煎じと嘆かれるし、違うことをやれば期待を裏切ったと言わ…

自動販売機のこと

朝歩いていると目の前が影に遮られて、なんだと思ってみたらトラックで、その荷台には巨大な墓石というか棺桶みたいなものが直立しており一瞬なんだか分からなかった。真っ赤に白抜きの文字で何か書いてある。飲料メーカーのロゴである。自動販売機がこちら…

ダイヤルアップと泥の沼:「電気サーカス」

「電気サーカス」という小説を読んだ。90年代、PCが普及しだすと同時にインターネット文化が興り始め、夜な夜なテキストサイトの更新に精を出していた若者たちの青春期。今でこそ、インターネットは才気活発な若者たちが華々しく活躍する場になったけれど、…

えらいところにきてしまった:ミッドサマー

最高にやばいものを観てしまった。 ミッドサマーは「ヘレディタリー/継承」のアリ・アスター監督の最新作。元から「白夜の中のホラー映画」という斬新なコンセプトが気になっていて、予習の意味で観た「ヘレディタリー」が怖いというより面白かったので、ミ…

光線銃

なんだか変な帰り道だった。 帰りの電車が途中で時間調整だがなんだかで止まって、ドアが開いたら外で誰かが光線銃を打ちまくっていた。そういう音がずーっとしていた。子供かなと思ったけど、今は夜だし、ここは駅だしなあと思ったが、電車の座席から首をひ…

ネタバレパンチ

月に行くなんていう突拍子も無い願いを抱えたまま死に行こうとする老人に、せめて意識の中だけでもそれが成就したように錯覚させてやろうというのが「To The Moon」の大筋の物語だ。ネタバレは伏せるが良いゲームだった。最近になってSwitchでリリースされた…

ドット絵のゲーム

最近遊んだ「198X」というゲームは、80年代の「いつか」を舞台にした物語で、家庭環境に問題がある主人公が町のゲーセンに入り浸り、古き良きアーケード筐体のゲームに入れ込むことで現実とのバランスを取っていくという筋書きだった。たぶん。 たぶん、と曖…

青い心霊写真

心霊写真がすごく苦手だ。心霊動画や、ホラー映画や、ホラー小説はそんなに抵抗感がないのだけれど、昔から心霊写真がすごく苦手である。ただ、なぜ苦手なのかを言語化しようとすると、言葉につまる。 もちろん、十年以上前のゴールデンタイムに放送されてい…

強制的な夏

Apple Musicで久石譲のSummerを検索すると、ちょうどこれから発売するアルバムのものが先行配信で聞くことができて、その結果、心が絶叫した。ずいぶん久しぶりに聞いたんだけれども、最初に聞いた時より、そして何年か時を経て聞いた時よりもずっと強力な音…